帳合
昔、ビール会社で営業していた頃「帳合」というものがあった。どういうことかと言えば、私が酒販店に行って売り込んだものでも、問屋を通さなければならないと言うこと。私の担当区は、自社の直送地域だったので、物の流れには問屋は一切関係しない。ただ、金銭の流れだけが、問屋を通したことになり利益が発生する。売り込んだ店の問屋には「〇〇酒店から〇〇の注文がありましたので納入します」と連絡をする。
当然、その売上は、問屋に入るのに「勝手なことをするな。あそこには〇〇ビールを売り込むことにしていたのに」と、罵声を浴びたりする。
なぜ、そういうことになるかと言えば、ビール会社は、それぞれの問屋に目標販売数を設定して、◯ケース以上売ったら、✕✕円のマージンupをすると約束している。
そんな状況で、到底目標に届かない、弱小ビール会社に売り込まれることは、迷惑でしないのだ。
昔の話になってしまったが、ビール業界よりずっと長く仕事しているテレビ業界でも、同じようなことが多々ある。会社を持たずフリーで仕事をしていたときのこと。ギャラを貰うのに、NHKではフリーだと手続きが煩雑なので、プロダクションを通してほしいと言われ、あるプロダクションを紹介された。当然ギャラ交渉はそのプロダクションと行う。驚くほど安かった。
ところが、NHKプロデューサーを訪ねたとき、偶然、そのプロダクションが提出している予算を見てしまった。私のギャラが倍で、おまけにAD(もちろん嘘)まで付くことになっていた。多分これがテレビ業界の「帳合」。
持ちつ持たれずで、働きもしないで搾取している人たち。人間として恥ずかしいと思わないのだろうか?
0コメント